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聖歌は生歌

聖歌は生歌

日中のミサ 復活節第二主日のミサ

《入祭の歌》 345 わたしは復活し
【解説】
 復活節、とりわけ復活の主日の日中のミサにふさわしい入祭の歌が、この 345 わたしは復活し です。この
曲の歌詞は、グレゴリオ聖歌でも同じく、復活の主日の日中のミサの入祭唱(Introitus)で歌われる、Resurrexi, et
adhuc tecum sum, によっています。これは、詩編139(ヴルガタでは138)とされていますが、現在『聖書』の底本
とされている《マソラ》とは、かなりことば遣いなどが異なっています。おそらく、ヴルガタ訳ができる前に、イタリアや
ローマで使われていた古代訳によっているものと言われています。
 ここで言う「わたし」と「あなた」は第一義的には「キリスト」と「神」ですが、二義的には、「わたし」はキリストの死と
復活にあずかった「わたしたち一人ひとり」、「あなた」は、司祭の手を通してわたしたちに按手してくださった「キリス
ト」と考えることもできると思います。特に、前の晩、復活徹夜祭に洗礼を受けた人々にとっては、まさに、キリストの
死と復活に結ばれて、今、神とキリストとともにいることをこころに刻み付ける内容ではないでしょうか。
 最初のアウフタクト「わたしは」は、属和音=五の7の最も密集した位置から始まり、次第に、旋律が上行して、和
音が広がってゆきますが、これは、まさに、復活したキリストが、墓からよみがえった様子を表しています。中間部分
は、ことばのイントネーションによって、旋律が上下します。最後に三回繰り返される「アレルヤ」は、ほとんどが高音
部で歌われ、キリストの復活の喜びを表しています。
【祈りの注意】
 テキストの内容は、力強い信仰告白でもあるので、堂々と、しかし、祈りの基本であるレガートを心がけましょう。冒
頭は、上にも書いたように、キリストが墓からよみがえる様子を表していますから、mf で始め、次第に大きくすると
よいでしょうか。中間部は、再度 mf で続け、後半の「あなたの知恵は~」から、cresc. して、最後の三回の「アレ
ルヤ」を力強く高らかに響かせます。ただし、再三指摘していることですが、乱暴にならないように。大きな喜びを表
す、レガートにしてください。
 テキスト自体もそうですが、曲もそれほど長くないので、聖堂によっては、司祭と奉仕者の行列の途中で、終わって
しまう可能性もあります。そのようなときには、二回ないし三回繰り返すとよいでしょう。繰り返す際には、一回ごとに
強くしてゆくと、この、信仰告白にどんどん力強さがますのではないでしょうか?それでも、最初の mf はそのまま
で始めてください。
【オルガン】
 力強い信仰告白ですが、あまり派手なストップの組み合わせは避けたほうがよいかもしれません。だからといって、
フルート系だけでは物足りないので、フルート系とプリンチパル系を工夫して組み合わせてみてはいかがでしょうか?
力強さを表すには、ペダルを入れるのが一番よい方法ですが、ペダルを使えない方は、フルート系の16’を入れてみ
るのも一つの方法です。一回ごとに強くしてゆく場合には、高いストップのピッチを加えたり、ピッチの高いフルート系
のストップをプリンチパル系に入れ替えるなどの方法がよいと思います。

《答唱詩編》 87 きょうこそ神が造られた日
【解説】
 日中のミサと復活節第2主日の答唱詩編は、復活徹夜祭のアレルヤ唱でも歌われた、詩編118が歌われます。こ
の詩編が復活詩編と呼ばれているのは、

キリストご自身が「ぶどう園と農夫のたとえ」(ルカ20:19)で、ご自分の復活について引用している
ペトロが議会で取調べを受けたとき(使徒:5-12)に、この詩編で主の復活を証しした

 ことなどによります。なお、主がエルサレムに入られたとき、これを迎えた群衆はこの詩編118の一節=25節を歌
いましたが、これは、後に「感謝の賛歌」へと受け継がれました。
 この詩編118は元来、神殿で行われた、何らかの祭儀で用いられたと考えられています。中間の21-27節の主
語が「わたしたち」(一人称複数)なのに対して、これ以外の部分は「わたし」と単数になっていることから、もともと
は、個人的な感謝の祈りだったものが、後に、共同体の祈りとして用いられるようになったとも考えられています。
 また、1節と29節が同じことば(恵み深い神に感謝せよ)であることや、2-4節には応答(そのあわれみは永遠)
があることから、神殿祭儀のとき、祭司と会衆の間で対話的に用いられた可能性も考えられています。
 この詩編118は、教会の祈りでも、第2・第4主日の朝の祈りの第一唱和で用いられており、主日が「キリストの復
活当日までさかのぼる使徒伝承により、根源の祝日」(『典礼憲章』106)とされていたことを裏付けています。
 
 答唱句は、冒頭、和音が密集した位置から始まりますが、「こそかみ」で旋律が6度跳躍し、最高音のCis(ド♯)に
高まり、この日=キリストの復活を自ら造られた神がたたえられます。後半では、「ともに」で同じ最高音のCis(ド♯)
が用いられ、この、キリストの復活を記念するミサと、キリスト教信仰の確信である復活が、個人的なものではなく、
共同体的なものであることを強調しています。「喜び歌え」では、バスが順次進行の下降音階とオクターヴの跳躍で、
喜びの大きさと深さを表しています。
 詩編唱は旋律の冒頭(全声部)と同じ、ドミナント(支配音)のE(ミ)から始まり、だんだんと上昇し、詩編の各節で、
最も意味が込められ、強められている、3小節目~4小節目の前半で高い音が用いられ、再び、E(ミ)に戻って終わ
り、答唱句へと続きます。
【祈りの注意】
 答唱句も詩編唱も、深い、大きな喜びをもって歌いましょう。
 答唱句で、音階が上行し跳躍する部分、「きょうこそかみが」や「この日をともに」は、特にレガートで歌うように心が
けてください。全体のテンポは、それほど早くはありませんが、間延びしたり、メトロノームで刻んだように歌うことは
決してしないようにしてください。また、バスを歌う方は、「喜び歌え」の順次進行の下降音階とオクターヴの跳躍で、
特に深い声を心がけてください。
 詩編は、復活の喜びにあふれながらも、その喜びをこころの底に深く刻み付けるように、深い声で歌い始めます。後
半の3小節目と4小節目では、核心のことばが歌われ、旋律もそれによって高まっていますので、力強い声で歌いま
しょう。ただし、絶叫になったり、乱暴にならないように注意してください。
〔復活の主日〕
 この詩編は、何回も述べているように、復活詩編であり、キリストの復活の預言です。詩編を歌われる方は、この預
言にふさわしい、心の準備もしてください。ペトロが議会で力強くキリストの復活を証ししたように、共同体の中で、こ
の預言のことばを、力強く宣べ伝えるようにしてください。
〔復活節第2主日〕
 『聖書』の記述を見ると、復活後のキリストは、必ず、「この日」=週の初めの日である日曜日に、弟子たちに現れ
ています。「この日」を「主日」と呼ぶのは、主が復活した日であるばかりではなく、この主日ごと(八日目ごと)に、主
が弟子たちに現れたことにもよります。福音でも、復活の日の出来事とその八日目のことが、トマスの疑いと驚愕、
そして信仰を中心に語られます。わたしたちも、この詩編をとおして、毎主日ごとにキリストに出会うミサを与えてくだ
さったことを、神に感謝したいものです。

【オルガン】
 復活の喜びにあふれた詩編ですが、答唱詩編であることには変わりありません。
 答唱句は、いつもより明るいストップにしてもよいでしょうが、基本的にはフルート系にしておいたほうがよいでしょ
う。復活の主日の八日間中なので、参加する会衆の人数も多いと思いますが。8’あるいは8’と4’はフルート系に
して高いストップでプリンチパル系のストップを加える方法もありますし、人数によってはすべてフルート系にしてもよ
いでしょう。
 答唱句は歌唱と同じようにレガートに心がけましょう。
 バスをペダルでとる場合、「喜び歌え」の部分は、最初のD(レ)〔四分音符〕を左のつま先、Cis(ド♯)を右のつま
先、H(シ)を左のかかと、A(ラ)を左のつま先、Gis(ソ♯)を右のつま先、Fis(ファ♯)を左のつま先、の順でとると、ス
ムースにレガートで弾けると思います。
 なお、「かみ」でGis(ソ♯)とFis(ファ♯)と黒鍵が続くところは、右足のつま先を滑らします。
 その他は、すべて、答唱詩編の原則に従ってください。


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